教育の理念

工学部は、地域の大学として北海道に貢献する教育に主眼を置いていますが、なおこれに限定せず広く応用性のある工学教育を行ってきています。今日、地域個々の課題は、広域的あるいは国際的課題ともなりうるため、幅広く活躍できる人材の育成が必要だからです。この観点から、カリキュラムの編成では、各学科とも幅広い適性の獲得に配慮し、常に新しい内容と普遍的で基本的な理論とが調和する科目配置に心がけており、どのような時代の変化にも対応し得る柔軟さを目指しています。

本学の教育は、1998(平成10)年度より、各学部4年間一貫教育を進めています。工学部においても、弾力的なカリキュラムの構成を目指して、1年次には、大学生にふさわしい識見と豊かな人間性を養うための学習を主体としながら、社会環境、建築、電子情報、生命の専門分野の入門的な科目も配置し、2年次以降には、継続的な外国語学習の課程を残しながら、工学基礎科目から始めて、高度な専門的知識と新しい技術を修得するための専門科目を配置しています。

各学科の教育方針を簡単にまとめると、以下のようになります。

社会環境工学科

社会環境工学は人間の生活と生産の舞台となる社会基盤を整備し、持続可能な社会システムを整備するための学問であります。
近年生活の豊かさが問い直され、地球規模での環境問題が議論されるなかで、誰もが安全で快適に活動できる都市・地域と、美しく恵みのある自然とが共存した社会基盤整備が求められています。これに応えるため、これからの建設技術者には専門的な技術力はもとより、新たな視点から、環境保全技術やライフサイクルを考慮した維持管理技術、および倫理観やグローバルな社会性などを身に付けることが必要となります。

建築学科

建築学は、社会に関する広い認識と先見性を持って、環境と共生し持続可能な建築・都市づくりを目指していく学問です。
このため、技術と文化の両方に関わる深い知識が求められると共に、地域社会の要求に応えることのできる柔軟な発想力が必要になります。最大の特色は、専門教育科目群を空間デザイン系(主に建築設計・デザインを学ぶ)、環境デザイン系(主に建築をとりまく環境や設備を学ぶ)、システムデザイン系(主に構造・材料・生産について学ぶ)の3系列に分けていることです。いずれかの系を各自の関心に応じて、重点的に履修することもできるし、幾つかの系にわたって総合的に履修することもできます。

電子情報工学科

電子情報工学は、情報化社会を支える情報技術(IT)の基礎と応用について学ぶための工学です。
現代社会は、生活・産業のあらゆる分野でITの応用が進み、高度情報化社会へと急速に変貌しつつあります。このような社会状況に応えるために、本学科では、ハードウェアからソフトウェアまでを統合した電子情報工学に関する基礎知識と、応用力・論理的思考力とを兼ね備えた技術者の育成を目指しています。この目的を達成するため、セミナーや卒業研究の少人数教育を行い、基礎的演習から応用的実習に至る実験実習等の科目を多く配置して実践的教育の実施に重点を置いています。併せて、基礎から応用に至る数学、物理学関係科目の充実を図っています。

生命工学科

生命工学科は「人間」と「生命環境」にやさしい先端テクノロジーを中心に、環境調和型のコミュニケーション社会に必要とされる知識とスキルを幅広く学ぶことを目標とします。そのために本学科の専門科目は、理学系科目を中心とした「生命科学系」と、工学系科目を中心とした「人間情報工学系」の2つの柱で構成されます。
「生命科学系」では、分子生物学を中心に、ゲノムテクノロジーや分子医学、あるいは近年注目を集めているグリーンテクノロジーなど、急速に発展を続ける「ライフサイエンス」に関する先端知識と基本スキルを修得します。「人間情報工学系」では、人間工学や感性工学、応用情報学など、「人にやさしいテクノロジー」を目指すために必要不可欠な「ヒューマンウェア」に関する先端知識と基本スキルを修得します。