TOP活動実績2002年

(24) 視覚性認知−奥行き認知と痴呆との関連− 北海学園大学工学部研究報告, No.30, pp.107-113, 2003-2

 高齢化社会に伴い痴呆患者の増大が大きな社会問題になっている.痴呆疾患にはその成因によって早期に治療にとりかかれば効果が期待できることから,早期診断が予後に重要な意味をもってくる.痴呆の多くはアルツハイマー病であると言われている.近年増加傾向のアルツハイマー病において早期診断はこうした点からも重要であるにもかかわらず,客観的非侵襲性の簡易な検査診断法がない状況にある.
 著者らは,立体視に関して液晶シャッター眼鏡を用いた仮想空間の奥行き知覚を計測し,頭頂葉での反応を認めた.この部位はアルツハイマー病の患者の初期障害部位と一致している.この事実をもとに,アルツハイマー病において病初期から出現する視空間認知機能の障害で奥行き知覚が低下していることに着目し,奥行き知覚を簡易に計測することで早期診断の検査法の確立を目指した.

PREVIOUS << >> NEXT