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(34) 声道分岐が音響特性に及ぼす影響に関する3次元有限要素法による検討 ─ 母音/a/の場合 ─
   電子情報通信学会技術研究報告, pp.19-24,2006-8

 声道分岐としての梨状窩および喉頭蓋谷の音響特性に及ぼす影響を調べるために,二名の成人男性の母音/a/発声時のMRIデータを使用して作成した3次元声道形状モデルを用いて,有限要素法により声道内の声道伝達特性とアクティ
ブインテンシティを計算した.両モデルのシミュレーション結果に共通して見られた梨状窩および喉頭蓋谷の声道伝達特性に及ぼす影響は以下に示すものであった.(1) ピークや零,あるいはそれらの対を生じさせる.(2) 零やピークの移動をもたらす.(3) 梨状窩および喉頭蓋谷がほとんど他の部位と干渉することなくほぼ独立して第1から第3ホルマントを移動させる.梨状窩あるいは喉頭蓋谷だけが単独で存在した場合には,声道伝達特性への影響がほとんど無い場合も見られた.しかしながら,それらが共に存在すれば,互いに干渉してそれぞれが単独で存在する場合とは異なる影響を声道伝達特性に及ぼす可能性の有ることが示された.

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