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(3) 内向きを表す記号イメージング時EEGによるマイクロロボット制御Ⅱ

山ノ井髙洋,森髙篤司,高柳浩,山﨑敏正,菅野道夫,野中秀俊
第25回ファジィシステムシンポジウム, 1B2-01, pp.1-4, 2009-7

山ノ井らは先行研究において,被験者が向きを示す単語(漢字:上,下,左,右)および記号(矢印:↑,↓,←,→)を観察および黙読する際の脳波(electroencephalograms: EEGs)を計測し,脳活動の時空間的な比較を行った.この結果,黙読時に潜時400ミリ秒前後で漢字と矢印で共通した脳活動が前頭葉で観測された.さらに,これらの潜時で逆の向きを示す視覚刺激に対して得られたERPを比較した結果,ERPのピーク極性の反転を確認した.この事実に着目し,山ノ井らは,ピーク極性の反転により,被験者がイメージした矢印の種類を判別できると考え,ブレイン・コンピュータ・インタフェース(brain computer interface: BCI)への利用を試みた.その結果,全被験者で80%を超える判別率を得た.本研究では,さらなる判別率向上を目指し,上前頭回に対応する4,6,12chに加え,14chを追加し4チャンネル分の信号を利用した.サンプリング潜時と間隔は先行研究と同様とし,400ミリ秒から900ミリ秒までのEEGを25ミリ秒間隔でサンプリングし,合計84次元のベクトル空間の多変量データとした.なお,本研究では矢印黙読時のEEGのみを判別に使用した.このデータに対し,先行研究と同様に,多変量統計的データ解析の一手法である4群に対する正準判別分析を試みた.この結果,全ての被験者に対して90%以上の判別率を得た.その判別結果を利用して小型移動ロボットe-puckの制御を試みた.

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