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(28) 非整数次微分を用いたアンシャープマスクによる画像鮮鋭化

魚住純,泉晴佳
北海学園大学大学院工学研究科紀要工学研究, 第9号, pp.27-36, 2009-9

何らかの原因でぼけを生じた画像から元の画像を回復したり,あるいは画像に含まれるエッジ部などを意図的に強調する処理として,画像の鮮鋭化処理がある.画像鮮鋭化には,多くの場合,アンシャープマスキングと呼ばれる高周波強調処理が用いられる.これは,ディジタル画像においては,原画像からそのラプラシアン処理画像を差し引く演算として実現する場合が多い.ラプラシアンは高い空間周波数成分を等方的に強調する微分演算処理であるが,その周波数強調特性は,空間周波数の2乗に比例している.これに対して,高周波成分の強調特性を,等方性を維持しつつ,空間周波数の任意のべき乗に拡張したものとして,等方性非整数次微分演算がある.アンシャープマスクの生成にこの演算法を用いると,鮮鋭化における高周波強調特性に,微分次数という新しい自由度を導入することができる.本研究では,この考え方に基づいて,非等方性非整数次微分を用いたアンシャープマスクを定義し,それによる画像の鮮鋭化の特性を具体的画像を用いて考察する.

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