TOP 活動実績 2009年

(31) 音声生成系の放射過程のモデルについて

元木邦俊
北海学園大学大学院工学研究科紀要工学研究, 第9号, pp.3-14, 2009-9

音声生成系の工学的モデルとして,音源部,声道部,放射部の各段階からなる縦続システムとして扱う方法が広く用いられている.音源部は声帯音源波形を生成する部分で,粘弾性体としての声帯と声門を通過する高速空気流の相互作用が生じる部分である.声道部は,音源部により生成された音源波形のスペクトル特性に音韻に従ったスペクトル特徴を与える共鳴器で,声門から口唇に至る空間部分(この部分を声道と呼ぶ)の形状によりその共鳴特性が決定される.放射部は,声道終端の境界条件を定めると同時に,遠方点への音響伝達特性を定める部分でもあり,そのスペクトル特性は,+6dB/octaveの一階微分特性として扱われることが多い.本稿では,このような音声生成系のモデル化手法において,詳しく解説されることが少ないと思われる音声の放射過程について,1次元モデルに適合させるための扱い方,筆者が行ってきた実験結果, さらには3次元的な音響放射モデルについて紹介する.

PREVIOUS << >> NEXT