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(4) レーザ光散乱による表面粗さ計測精密工学会誌,第64巻,第9号,pp.1304-1307,1998-9.

 日本工業規格(JIS B 0601)によると,図1の平行線mからの表面粗さ変動h(ξ)の評価に重要なパラメータは,「粗さの振幅の大きさ」を意味する算術平均粗さRaと相関長に相当する局所山頂の平均間隔Sであって,これらは,それぞれ
Ra=およびS=(1)
と定義されている.ここで,lは平均が取られるデータ長(基準長)であり,Siは隣り合う山頂間の間隔,nはその個数である.
 この規格で定められている触針式表面粗さ計には次のような問題が伴う1).まず,先端部の構造がもろく,壊れやすいために,資料を水平において注意深く測定しなければならない.そのため,測定はゆっくりと時間をかけて行わなければならず,加工中の材料の表面粗さをオンラインで実時間的に測定することはできない.また,触針計で得られる表面粗さのデータは,ある特定の方向に沿った1次元走査によるたかだか数mm程度の領域から得られるもので,資料全体の情報を必ずしも反映するのものではない,さらに,触針であるために,資料を傷つけることも考えられる.
 触針式表面粗さ計測の上述したような問題を解消するために,レーザ光を用いる光学的手段が研究されている.この光散乱による方法は,非接触計測という大きな利点とともに,方法自体が二次元的で,かつ,実時間的に表面粗さの情報が得られるために,加工中の資料全面にわたる表面粗さの評価に利用できる特徴を有している.表1は,これらの2つの方式の比較をまとめたものである.
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