TOP活動実績1998年

(25) 多段階交叉位置決定手法における交叉位置の制約の1有効性について
     平成10年度電気関係学会北海道支部連合大会, pp.363-364,1998-10.

 近年,様々な機械翻訳手法が開発され,利用されている.我々は,言語獲得能力を計算機に与えることを目指し,学習型機械翻訳手法の研究を続けている.そして,帰納的学習能力を持った学習型機械翻訳手法に対して,遺伝的アルゴリズムを適用し,その有効性を確認した[1].この学習型機械翻訳手法を遺伝的アルゴリズムを用いた実例からの帰納的学習による機械翻訳手法と呼び,本稿ではこの手法をGA-ILMTと表記する.
 我々は,GA-ILMTの性能向上のため,多段階交叉位置決定法[2]を提案した.本手法は,交叉対象となる2つの翻訳例の単語の対応関係を様々な知識を使って決め,類似度を計算し,交叉位置を決定する手法である.本手法により,多様な交差位置の決定が可能となり,そして,類似度を用いて交叉を制約し,翻訳に最適な交叉を行うことが可能となった.更に,本手法では,原文と訳文の対応関係による交差位置の制約を用いることにより,交叉位置の候補に対する確実な交叉位置の決定を可能にする.しかし,この原文と訳文の対応関係による交差位置の制約を適応すると,交叉位置の数が減少するため,翻訳例の多様性が減少する.原文と訳文対応関係による制約を適用しない時,生成される翻訳例の多様性が増加し、この制約がある時に翻訳不能であった入力文が翻訳可能になる場合もある.一方,翻訳ルールの増大による辞書の肥大化や,無効な翻訳ルールの増加による誤翻訳結果の生成数の増加も考えられる.
 本稿では,類似度が制限されている環境で,交叉位置への制約の効果を確認するために行った評価実験より,交叉位置の制約の有効性について述べる.
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