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(29) だ円音響管モデルを用いた日本語母音の3次元有限要素解析
     電子情報通信学会論文誌,Vol.J81-A,No.6,pp.899-906, 1998-6.

 日本語母音/a/,/i/,/u/発生時の磁気共鳴画像(MRI)データより作成された声道断面データをもとにその声道断面の周長と断面積に等価なだ円で近似された断面をもつ3次元声道音響管モデルを構築し,有限要素法を用いて,声道音響管内の音圧および粒子速度を計算する.声道音響管モデルには,柔らかい壁を模擬した声道壁インピーダンスを境界条件として与える.また,口唇部における3次元の放射を実現するための放射空間を放射端に付ける.シミュレーション結果より,放射インピーダンスおよび声道伝達特性を計算し,従来の1次元モデルのものと比較する.本手法から計算された声道伝達特性の第1および第2ホルマントは,1次元モデルのものとよく一致するが,第3ホルマント周波数以上になると,声道音響管内に高次伝搬モードが生じ,ホルマント周波数や帯域幅に違いが生じることを示す.また放射インピーダンスが音響管の形状や壁の境界条件よりも,主に放射開口形状に依存することを示す.
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