TOP活動実績2002年

(22) 左右視野に提示された単語の大脳での優位性
    工学研究(北海学園大学大学院工学研究紀要), 第2号, pp.153-163, 2002-9

 大脳半球の機能に左右差が存在すること知られている.本研究では,左右の視野に独立な単語を提示し,その意味の認知にかかる時間を計測し,大脳半球の優位性を調べたので,報告する.山ノ井らは北海道情報処理シンポジウム'01で発表を行っているが,以前の実験ではレスポンスタイムについて計測し,フランスと日本においての結果を考察した.本研究では日本語の「漢字」と「ひらがな」について,レスポンスタイムとともに事象関連電位を計測し等価電位双極子推定を行った結果の報告である.
 ファイルに左右の視野に提示する単語を対としてあらかじめ用意した.実験に用いた漢字の単語は2文字から,ひらがなは3文字からなり,逆順では意味のなさない単語(非単語)をえらび,正順と逆順で対として左右の視野に提示するものとした.単語と非単語は縦書きとして提示した.単語は,視交叉の影響を極力排除するように,それぞれ,画面左,右の2箇所の位置に提示した.
 刺激は提示には時分割液晶シャッター眼鏡表示システムを用いた.これにより,CRTに表示される単語は120Hzごとに交互に画面に表示される.刺激は液晶眼鏡のシャッター間隔と同期され,結果として,左右の眼にはそれぞれ対の単語と非単語が単独で表示される.表示する単語と非単語はファイル内から逐次自動的に提示され,被験者が意味を理解した時点でEnterキーを押し,提示からこの時点までの間隔時間をファイルに記録した.被験者が判断に迷うときは5000msecで打ち切り,次の表示を行った.各単語に対する反応時間と提示位置をファイルに逐次記録した.
 さらに,大脳半球優位性の見られた被験者に対し,単語提示時の事象関連電位を計測し,先のレスポンスタイム実験より潜時を推定し,等価電流双極子推定法により反応部位を精査した.
PREVIOUS << >> NEXT