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(27) 譲渡不可能な所有対象の表現について 電子情報通信学会信学技法, NLC2002-21, pp.77-84, 2002-7

 文章中に出現する名詞の意味の理解は、その依存の程度に強弱はあるが、文脈情報に依存して行われるのが普通である。本報告では、文脈に強く依存してその意味の理解が進められる、譲渡不可能な所有対象を表現する名詞に関する基礎的な考察を行う。譲渡不可能な所有対象とは、通常の状態では、所有者から切り離すことのできない所有物としての対象である。たとえば、ある特定の人間にとっての目とか鼻などがそのような対象である。このような対象が文章中で文脈に依存してどのような形で表現され、処理されるのであろうかという問題について考察する。譲渡不可能な所有対象についての一般的な考察を行った後、日本語とアイヌ語におけるその表現のしくみについて従来の研究を参照しながら比較と検討を進める。本研究はアイヌ語と日本語の間の機械翻訳処理のための一つの基礎的な考察としても位置づけることができる。
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