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(52) 声道内の3次元音場 日本音響学会誌, Vol.58, No.7, pp.438-440, 2002-7

 音声生成系の音響モデルとして声道断面積関数に基づいた1次元音響管モデルが広く用いられている.このモデルで表現できる周波数の上限は,声道横断面の最大寸法が半波長に相当する程度の周波数(約4kHz)とされており,母音の音韻性に対して重要な帯域をカバーできる.最近では,磁気共鳴映像法(MRI)に代表される観測技術の進展により声道の正確な3次元形状が得られるようになってきており,平面波伝搬の仮定が成立しない高域での音響解析が有限要素法(FEM)などで行われるようになっている.ここでは,まず,千葉・梶山による声道共鳴のモデルと現在一般的に用いられている1次元声道モデルの簡単な説明を行い,次に,3次元的声道形状が有する音響的特徴について述べる.
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