TOP活動実績2003年

(1) 左右視野に提示された単語認知の半球優位性
   第5回ヒト脳機能マッピング学会大会, p.83, 2003-3

 大脳半球の機能に左右差が存在することが知られている.本研究では,左右の視野に独立に単語を提示し,その意味の認知に有する時間を計測し大脳半球の優位性を調べた.更に,大脳半球優位性が認められた被験者に対し,単語提示時の事象関連電位(ERP)を計測し,先の反応時間計測からERP成分の頂点潜時を推定し,その時刻における等価電流双極子推定を試みた.
 視覚刺激は,単語の漢字2文字とひらがな3文字からなり,逆順では意味をなさない単語(非単語)である.これらを,時分割液晶シャッターを利用し,正順と逆順で対として左右の視野に提示した.尚,単語と非単語は縦書きである.被験者は意味を理解した時点でEnterキーを押すよう指示された.刺激提示からこの時点までを反応時間とした.この時の脳波を19チャネルで計測した.等価電流双極子推定には脳波解析ソフトウエアSynaPointPro(日本GEマルケット)を利用した.
 右利きの被験者について,漢字刺激は反応時間平均に有意差が見られなかったが,分散が有意に小さいことから左脳優位と考えられる.ひらがな刺激ではほとんど左脳でしか反応がなく,明らかに左脳優位であった.左利き被験者(1例)については,右利き被験者と異なり,漢字刺激,ひらがな刺激共に右脳の反応がほとんどで右脳優位であった.
右利きの被験者について,漢字刺激では予測潜時範囲でほとんど反応が左脳に集中していた.更に,漢字刺激とひらがな刺激でウエルニッケ野での反応を見出した.一方,左利き被験者(1例)では,右脳に多くの反応が集中し,漢字刺激で右脳ウエルニッケ野ホモローグ((右)上側頭回)にECDが推定された.

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