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(13) 視差の異なるランダムドットステレオグラム視覚刺激に対する脳内処理過程とその潜時の比較
   北海学園大学大学院工学研究科紀要 工学研究 第4号, pp.63-69, 2004-9

ヒトが物体の位置を認知するためには様々な視覚的手がかりを利用している.その中でも奥行きを認知する際に最大の手がかりとなるものは両眼視差である.これまでの両眼視差に関する脳内処理の研究では,ヒトが立体視の認識を行う際には頭頂葉が関係しているといわれている.本研究では左右の眼に視差の存在する画像を提示することにより立体的な視覚刺激を生成し,この刺激を被験者が観察した際の脳波を計測し,得られた脳波から等価電流双極子推定法(ECDL)による脳内処理部位の推定を行っている.
著者らの一部は先行研究において,視覚刺激の提示後,潜時400ms前後で頭頂葉の中心後回(Post Central Gyrus:PstCG)近辺にECDが推定されたことから,立体視に関わる脳内処理部位が頭頂葉に関係していると推定した.また提示した視覚刺激の視差別に全被験者のgrand average波形を比較したところ,PstCGにECDが推定された潜時よりも後の潜時において各チャネルの波形が交差または収束する潜時が観察され,この潜時は視覚刺激の視差が大きい場合に遅れて観察された.
本研究ではこの潜時に着目し,各被験者について提示した視覚刺激の視差別にこの潜時以前での脳内処理部位の推定を行った.また推定されたECDの位置および潜時について視差の違いに対する比較を行った.


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