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(44) アイヌ語日本語機械翻訳における場所表現の処理について
   情報処理北海道シンポジウム2004論文集, pp.30-31, 2004-5

アイヌ語には<場所>を表す名詞と<場所>を表さない名詞の区別が存在する.そして,アイヌ語の基本的な場所表現は,<場所>を表す名詞そのもの,あるいは<場所>を表さない名詞に場所を表す位置名詞を後置することによって構成される.たとえば,「cise 家」は<場所>を表さない名詞で,位置名詞「or (〜の)所」を後置して,「cise or」とすることで場所表現を構成することができる.これに場所を表す表現を前置する格助詞「ta」を後置した表現「cise or ta」は,単語直接翻訳では「家の所で」となるが,自然な日本語とするためには「家で」に変換する処理が必要となる.本考察は,アイヌ語と日本語の間の機械翻訳という視点から,アイヌ語における場所表現と上のような変換処理も含めた翻訳処理の基本的なしくみについて基礎的な考察を行う.また,関連する研究として,中国語,日本語,英語における場所表現についての対照的な考察についても言及する.

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