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(12) 等価電流双極子推定法による向きを表す単語と記号に対する認知過程の比較
   生体医工学シンポジウム講演論文集,pp.308-311, 2005-9

ヒト脳内での単語と記号の処理部位とその推移を調べるために,向きを表す単語(漢字:上下左右)および記号(矢印:↑↓←→)の視覚刺激を被験者に提示した.この際の脳波(electroencephalogram:EEG)を計測し,刺激別に加算平均を求め等価電流双極子推定(ECDL)を試みた.逆の向きを示す提示刺激については,事象関連電位(event-related potential:ERP)のピークの極性が同じ場合には同様の部位に推定されたECDのモーメントは同様であった.しかしながら,ピークの極性が逆である潜時ではそのモーメントは異なり,ほぼ逆向きとなっている結果も存在した.潜時300ミリ秒以後での漢字と矢印とで推定されたECDの部位を比較すると,矢印提示の場合には右下前頭回にECDが推定されたが,漢字提示の場合には言語認知に関係するといわれる左紡錘状回,右中側頭回などにECDが推定された.

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