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(9) 左右視野に提示された単語認知の半球優位性について
  第19回ファジィシステムシンポジウム講演論文集,pp.719-722, 2003-9

 大脳半球の機能の左右差については数々の文献が示すように周知の事実である.著者らは概算と普通の計算が左右脳それぞれで計算されることを明らかにした.本研究では,左右の視野に独立に単語を提示し,その意味の認知に有する時間を計測し,視野の優位性を調べた.視覚優位性が認められた被験者に対し,単語提示時の事象関連電位(ERP)を計測し,先の反応時間計測からERP成分の頂点潜時を推定し,その時刻における等価電流双極子推定を試みた.
 右利きの被験者については,言語野が左半球にあると言われている.単語認知反応時間計測実験結果からは,漢字刺激に対しては右視野優位すなわち左半球優位と考えられた.ひらがな刺激では明らかに右視野優位左半球優位であった.左利き被験者については,右利き被験者と異なり,漢字刺激,ひらがな刺激,共に左視野に関する反応がほとんどで右半球優位であった.
 等価電流双極子推定実験結果からは,右利きの被験者について,漢字刺激では予測潜時範囲でほとんど反応が左脳に集中していた.更に,漢字刺激とひらがな刺激でウェルニッケ野での反応を見出した.一方,左利き被験者では,右脳に多くの反応が集中し,漢字刺激・ひらがな刺激ともに,右脳ウェルニッケ野ホモローグ((右)上側頭回)にECDが推定された.

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