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(43) 一文一格の原理と深層格選考に基づいた日本語深層格規則の自動獲得
   情報処理学会自然言語処理研究会資料, 第156巻, pp.15-22, 2003-7

本稿では,概念体系と概念ごとの深層格の選好知識を言語普遍と仮定し,分類語彙表とEDRコーパスから計算された確率を近似的に用いることで,構文解析が行われた文に対して深層格を推測する手法について提案する.提案手法は,以下の二段階で推測を行う.第一段階では,単語概念がもつ深層格に対する制約と選好を基に,推測される可能性がない深層格を排除した後,フィルモアの一文一格の原理に違反しないように仮説を立てて推測する.第二段階では,第一段階の結果から,深層格と一意に対応する表層格の規則を獲得し,その規則に従って再解析を行う.一文一格の原理が満たされた文を用いた場合と,一文一格の原理が満たされておらず分類語彙表の未登録語を含む文を用いた場合の二通りの状況で実験を行った.一文一格の原理が満たされた文に対しては,単純に確率的に最大の深層格を推測する手法の正解率61.8%を66.0%まで向上できることを確認した.また,未登録語を含む文に対しては,確率的に最大の深層格を推測する手法の正解率28.4%を50.1%に向上させることを確認した.

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