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(24) アルツハイマー型認知症の両眼立体視
   老年精神医学雑誌 第16巻第11号,pp.1283-1291,2005-11

 アルツハイマー型認知症(Alzheimer-type dementia; ATD)では早期から両眼立体視機能障害がみられるが,詳細は不明である.本研究ではその病態を両眼視差と輻輳を手がかりとする立体視に分けて解明することを目的とした.対象はATD患者と年齢,性別,教育年数を一致させた健常高齢者(HC)の2群とした.両眼視差を手がかりとする立体視検査にはSTEREO OPTICAL社のRANDOT STEREOTESTSを用い,輻輳を手がかりとする立体視検査はコンピュータと液晶シャッター眼鏡による立体視刺激を用いた.その結果,ATD患者は両眼視差による立体視である局所的立体視および全体的立体視の障害が比較的早期から現れること,輻輳を手がかりとする立体視では近位の距離判断に障害を受けること,全体的立体視機能が輻輳による立体視機能と連動して働くこと,輻輳と知的機能は比較的早期からともに障害されることが明らかとなった.

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