(25) 北海学園大学工学研究科ハイテク・リサーチ・センター
システム制御情報学会誌,No.2,pp.74-75,2006-2
札幌市中央区の藻岩山ふもとに所在する北海学園大学ハイテク・リサーチ・センターについて紹介する.平成10年に文部科学省の補助金事業である「私立大学学術研究高度化推進事業」ハイテク・リサーチ・センタープロジェクトに選定され,「知的画像・言語情報処理システムにおける情報統合処理技術の研究開発」としてこのセンターは5年間のプロジェクトがスタートした.このプロジェクトが終了後,外部評価を得て,さらに5年間の継続プロジェクト「視覚・画像・音声・言語情報処理の高度化と知的計測制御技術への応用」
として研究が進められている.現在は2期目の研究プロジェクトの概要を以下に引用する.
「人間が外界からの入力を処理し,再び外界へ出力するまでの情報処理過程は,様々な情報の融合的な処理過程とみなすことができる.視覚や聴覚などの異 なる感覚器官から取り込まれる情報の融合処理,外界からの情報と人間が自分の中に保持している情報との融合処理,物理的なパターン信号情報と抽象的な記号情報の融合処理,状況を考慮しながら思考し行動する状況依存的な融合処理など,人間の優れた知的能力の基盤は情報の融合処理能力にあるといっても過言ではない.視覚・画像・音声・言語情報処理の高度化は,このような人間における融合的な情報処理能力の解明とその成果を参照しながら進められるべきものであろう.
本プロジェクトは,人間の視覚および聴覚情報処理と直接的に関連する,視覚・画像・音声・言語情報処理における情報処理技術の高度化と,その成果技 術の知的計測制御技術への応用に関する研究開発を行うものである.研究開発は,視覚・画像情報処理研究グループ,音声・言語情報処理研究グループ,ロボット・制御情報処理研究グループによる個別的な研究開発を中心として,領域横断的な融合的情報処理技術の研究開発も念頭において,各研究グループ間の連携も模索しながら進められる.主な研究テーマは以下に示す.
・ヒトの視覚情報処理・言語情報処理における脳内部位の推定と脳の知的システムの解析
・光学情報処理と画像情報処理の融合化とその知的光計測技術への応用
・機能性光波による光・画像情報処理の高度化と知的光計測技術への応用
・声道モデルの高度化による音声生成機構の物理音響的特長解析
・言語情報処理の高度化と知的言語情報処理システムへの応用
・言語および知識獲得のための学習能力に基づく音声対話処理
・画像情報処理の人間・移動ロボット連携作業への応用
・マルチメディア機器入出力仕様の代数的記述方式と実装技術の確立
本研究プロジェクトの成果として期待される知的計測制御技術を組み込んだ,人間の能力を拡張するシステム,人間の能力を代行するシステム,人間と知的なインタラクションを行うシステムは,画像と言語情報を融合的に含むマルチメディア情報の知的情報処理システムとしてだけでなく,人間社会全般にとって
も非常に有用なシステムであり,解決が困難とされている実世界(Real World)での様々な問題に対処しうる「柔らかな情報処理技術」の実現のためのシステムとして寄与するところ少なくないと思われる.特に,自律移動ロボットの研究開発は,福祉分野における有用な貢献が期待される.」
このような考えで視覚・画像情報処理研究グループ(山ノ井高洋・ 大西真一・ 高井信勝・ 魚住純 ),音声・言語情報処理研究グループ(元木邦俊・松崎博季・桃内佳雄・越前谷博),ロボット・制御情報処理研究グループ(深谷健一・
菊地慶仁)プロジェクトは進行している.
平成10年に購入した主な装置として,NEC製(現在日本GEマルケット)デジタル多用途脳波計Synafit EE2514S-ES,NAC製アイマークレコーダーEMR-7,ソリッドレイ製液晶シャッター眼鏡,日商エレクトロニクス製HMD
Eye Phone90などがある.現在もデジタル多用途脳波計を駆使して視覚情報処理・言語情報処理にかかわるヒト脳内機構を調べている.
本報告では,プロジェクトの視覚・画像情報処理研究グループ中で「ヒトの視覚情報処理・言語情報処理における脳内部位の推定と脳の知的システムの解析」として進められている山ノ井を中心とするグループの研究について取り上げる.この研究には外部共同研究者として,マルセイユ大学のElie
Sanchez博士,理研(現在同志社大学)菅野道夫教授,大阪府立大市橋秀友教授,札幌医科大村上新治教授,関西大学林勲教授,NECバイオITセンター山�ア敏正博士等が参加して,共同研究が進められている.