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(17) 音読課題中の聴覚遅延フィードバックに対する訓練効果のf-MRI 評価

平田恵啓,竹内文也,井野秀一
生体医工学, 47, 特別号(プログラム・抄録集), p.339 (616 on CD), 2009-4

発話音声を約0.2秒遅延して話者の耳に与える聴覚遅延フィードバック(DAF)は,話者の発話を阻害し吃音や抑揚の乱れが生じる.一方,継続的なDAF練習は発話の流暢性を回復させる.そこで3名の健常者を対象に, f-MRI測定をDAF練習の前後で行い変化を観測した.その結果,すべての被験者で2週間以上の訓練後にDAF効果の発話の乱れがある程度回復した.f-MRIのデータからは中前頭回と上前頭回の賦活が多く見られたほか,uncorrected(p<0.001)条件では中側頭回の活動も見られた.訓練前後で被験者間に共通の変化は見られなかったが,左半球で賦活部位が減少し,右半球では増加する傾向であった.記録音声からは被験者の発話の流暢さの欠如が必ずしもDAFのブロック内で安定的に起きておらず,血流のヘモダイナミクスの安定した変化を期待する解析手法に脳内の血流変化が合致していない可能性が考えられる.

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