(37) モード展開法を用いた声道モデルにおける損失の評価
坂尻勇人,元木邦俊
北海学園大学大学院工学研究科紀要工学研究,第11号,pp.55-63,2011-09
本論文では,粘性,熱伝導と緩和吸収による空気損失を考慮した声道モデルを提案し,
提案モデルの音響特性について報告する.音声生成モデルの高度化のために,矩形音響管を用いた
声道モデルに対しモード展開法により音場解析を行っている.
従来のこの手法では音響管の壁は剛壁であるとし,声道内部は無損失であると仮定してモデル化を行ってきた.
従来モデルの声道伝達特性には高い周波数域で,実際の音声では通常観測されない帯域幅の狭い
極や零が多数発生していた.提案手法では,粘性,熱伝導と緩和吸収による空気損失を考慮した.
その結果,無損失の場合に生じていた帯域幅の狭いピークは高次モードの遮断周波数付近では強く抑制された.