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(34) FFTによる2次元画像の非整数次積分処理(I) −1次元積分−

魚住純,鈴木宏司
北海学園大学大学院工学研究科紀要工学研究,第11号,pp.65-75,2011-09


画像に微分演算を施す処理は,画像を構成する空間周波数の高周波成分を強調する作用があり,エッジ検出や画像鮮鋭化などに応用され,利用価値が高い.一方,積分演算が画像処理に用いられることは希である.これは,通常の積分処理が画像に大局的で大きな構造的変化をもたらすことから,その利用価値が比較的低いためであると考えられる.
 微分の階数は非整数を含む正の実数に拡張することが可能であり,それによる非整数次微分を導入することにより,微分処理の自由度を連続化し,興味ある処理効果を生み出すことができることが示されている.非整数次微分の次数(階数)を負数としたものは,非整数次積分とみなすことができ,これにより,積分の次数(回数)にも連続的な自由度を与えることができ,1以下の次数の積分も実現が可能である.
 このため,本研究では,幾何学的画像と標準画像を対象として,画像平面内の1つの軸に沿った積分,および2つの軸に広がる積分の効果について考察する.このうち,前者の積分を1 次元積分,後者を2次元積分と呼ぶこととし,1次元積分の効果については本論文で,また2次元積分の効果については,後続の論文で扱うこととする.

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