ニュース電子情報工学科

掲載日:2024.02.15

以下の日程で「第3回 数理物理セミナー」を開催いたしました。本学工学部電子情報工学科では、2019年度より他大学の数理物理学者と最新の研究の情報交換を目的とし、本セミナーを開催しております。今回は信州大学よりお招きした松本洋平先生と、本学工学部電子情報工学科の船川大樹先生が「量子ウォーク」をテーマとした講演を行いました。セミナーには博士後期課程以上の研究者が参加し、講演中から活発な質疑応答が交わされ大変盛り上がりました。次年度以降も継続した開催が期待されております。

開催日 2024年2月5日(月)10:30~16:30
場所 北海学園大学 豊平キャンパス7号館 行動科学実験室1
講演者 松本 洋平 (信州大学)、船川 大樹 (北海学園大学)
講演概要 講演概要① 10:30~12:30
タイトル:原点に摂動のある非ユニタリ量子ウォークのスペクトル

講演者:松本 洋平
アブストラクト:量子ウォーク(QW)は古典ランダムウォークの量子版として知られる数理モデルであり、量子コンピュータの発展に伴い、近年活発に研究されている。カイラル対称性を有するQWは、トポ ロジカル相の観点からも重要である。また、開放量子系の観点から、非ユニタリなQWの研究も進められている。本研究では、1 次元格子上のカイラル対称性を持つ1 欠陥付非ユニタリQWに 対して、 転送行列法を用いて固有値問題を解き、スペクトルの計算を行った。本研究は、T. Endo氏(東北大学)、A. Suzuki氏(信州大学)の共同研究である。

講演概要② 14:30~16:30
タイトル:量子ウォークにおけるスペクトル写像定理とその応用

講演者:船川 大樹
アブストラクト:量子ウォークは光子をデバイスへ透過・偏光することで実現される数理モデルであり、量子探索アルゴリズムやトポロジカル絶縁体への応用が期待されている。量子ウォークのスペクトル解析においては、2019 年にカイラル対称性を持つ閉鎖系量子ウォークの記述する時間発展作用素に対してスペクトル写像定理がSegawa・Suzukiらによって導かれた。本研究はこれを開放系などにも適応できるよう、より広いクラスへと一般化したものである。本講演では、量子ウォークにおけるスペクトル写像定理の歴史と共に、 最新の結果を紹介し、さらにその応用例も提示していく。尚、本研究はK.Saito 氏(神奈川大学)との共同研究である。

(世話人:船川 大樹)