ニュース電子情報工学科
掲載日:2025.10.17

電子情報工学科の前田秀基教授とチリ共和国の科学研究センター(Centro de Estudios Cientificos)とサン・セバスチアン大学(Universidad San Sebastian)に所属のクリスチアン・マルチネス教授との共著論文がPhysical Review D誌に掲載されました。
ブラックホールは光さえも脱出できないほどに歪んだ時空領域として実現するため、その外側の時空も歪んでいると考えるのは自然ですが、前田教授らはこの素朴な考えが常に正しいとは限らないことを示しました。この論文では外部の時空が局所的に完全に平坦である非常に奇妙なブラックホールの配位が物質場に対する強いエネルギー条件の下で可能であることを、平面対称性を持つアインシュタイン方程式の厳密解を用いた具体的な例を構成することで証明しています。この厳密解は圧力とエネルギー密度が比例する状態方程式に従う完全流体を物質場とするGamboa解をキリング地平線内部に延長したもので、パラメータを変化させると時空はブラックホールではなくワームホールになり、このとき物質場は全ての標準的なエネルギー条件を破ります。
タイトル:Planar black holes and wormholes with a flat exterior
著者:Hideki Maeda, Cristian Martínez
論文掲載ページ:https://journals.aps.org/prd/abstract/10.1103/6719-ww1d