研究発表電子情報工学科
掲載日:2026.09.15

9月8日~11日にかけて開催された第87回応用物理学会秋季学術講演会において、本学卒業生の大塚玲生さん、佐々木脩さんがそれぞれ関与した研究成果2件を発表しました。また、発表の一部は、慶應義塾大学の海住教授、北海道大学電子科学研究所の平井准教授、雲林院教授との共同研究成果です。
タイトル1: レーザー加熱グラファイト合成法の条件最適化
発表者: 藤原 英樹,大塚 玲生, 松坂 美月,鹿嶋 倖太郎,海住 英生,平井 健二,雲林院 宏
発表日:9月10日(ポスター発表)
学会情報:第87回応用物理学会秋季学術講演会(北海道大学、9月8日 – 9月11日)
講演会ページ:https://meeting.jsap.or.jp

図1 (a,c)中程度のレーザー強度を10秒間連続で照射した際のグラファイトの信号強度分布とその電子顕微鏡画像。(b,d)高レーザー強度の25ミリ秒間照射を400回繰り返したした際のグラファイトの信号強度分布とその電子顕微鏡画像。信号強度分布は青色の部分が高品質のグラファイトを示しており、電子顕微鏡の該当部分が黒くなっている様子が確認できます。
内容:グラファイトは、多くの注目すべき特性を持ち、エネルギー貯蔵や電子回路など多岐にわたる応用が期待されています。しかし、化学気相合成法などの既存の合成法では、高い処理温度と長い処理時間、高価な装置を必要とするため、結晶性や特性を制御したグラフェン材料を自在に作製・描画できる簡便で安価な合成技術が求められています。この問題に対し、当研究室では、レーザーの局所加熱によりアルコールを熱分解し、照射した箇所に高品質なグラファイトを選択的に合成することに成功しています。
本発表では、このグラファイトのレーザー加熱合成条件の更なる改善を目指し、照射条件の最適化を行いました。その結果、短時間の高強度レーザー照射を繰り返すことで、照射スポット内に均一に高品質なグラファイトを合成できることを示しました(図1)。
タイトル2: 水熱合成法を用いたマイクロサイズ電気駆動ランダムレーザーの作製
発表者: 藤原 英樹,佐々木 脩
発表日:9月11日(口頭発表)
学会情報:第87回応用物理学会秋季学術講演会(北海道大学、9月8日 – 9月11日)
講演会ページ:https://meeting.jsap.or.jp

図2 試作したデバイスの発光写真.(a)GaN基板上に合成した直後のZnO構造の顕微鏡画像、(b)デバイス化した後の電気駆動発光の様子。
内容:光多重散乱に基づくランダムレーザーは、散乱体凝集などにより簡単に作製出来るだけでなく、無指向性、準単色性、低空間コヒーレンスというユニークな特徴により広範囲に強度ムラのない照明が可能となりますが、凝集体などの構造では電気駆動化が難しい点や、その不規則さによりレーザー発振モード(発振箇所など)を制御できないといった問題が存在します。この問題に対して本研究室ではこれまでに、水熱合成法という熱的な化学反応で半導体を合成する手法により、p型GaN基板上にn型のZnO粒子膜を合成し、電気駆動により発光するデバイスの作製に成功しています。しかし、本手法では発光箇所がランダムに複数現れ、電流が分散するため、高い電流密度を達成できないといった問題があります。このため、発光強度を上げることができず、レーザー発振には至っていませんでした。
そこで本研究では、レーザー加工により100µm角の穴をあけたカプトンテープをマスクとしてGaN基板に貼ることで、水熱合成によりZnOが合成される領域を限定する簡単な方法を提案しました。その結果、水熱合成領域の限定により、電流密度が増加しただけでなく、室内照明下でも十分に目視可能な明るさの発光を確認することに成功しました(図2)。



