ニュース電子情報工学科
掲載日:2025.10.08

電子情報工学科卒業生(加茂 雅也 氏)の卒業研究成果を藤原英樹教授が第86回応用物理学会秋季学術講演会において発表しました。本研究は北大電子研・平井准教授、慶応大・海住教授との共同研究成果となります。
タイトル: レーザー加熱グラファイト合成のアルコール溶媒種依存性
発表者: 藤原 英樹、加茂 雅也、松坂 美月、鹿嶋 倖太郎、海住 英生、平井 健二、雲林院 宏
発表日:9月7日
学会情報:第86回応用物理学会秋季学術講演会(名城大学天白キャンパス、9月7日-9月10日)
講演会ページ:https://meeting.jsap.or.jp
エタノール中の鉄ニッケル合金(NiFe)基板にレーザーを照射すると、マイクロメートルサイズの局所領域が1000℃以上に加熱されます。この熱によりアルコールが炭素や酸素、水素に分解され、NiFe基板上に炭素のみが再結晶化します。この反応により、NiFe基板のレーザーを照射した部分に選択的に高品質なグラファイトを合成されます。今回の発表では、炭素数の異なるメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノールをアルコール溶媒として用い、合成されるグラファイト品質が溶媒に対してどのように変化するのかを確認しました。その結果、炭素数が減るに従い高品質のグラファイトが形成され、また、ラジカルの発生しない炭素数の少ない溶媒では低品質のグラファイトしか合成されないことが明らかとなりました。これらの結果から、炭素数が重要となるわけではなく、炭素数とOHラジカルの比が重要となることが明らかとなり、炭素結晶が形成されるレートが適度に遅い状況で良質なグラファイトを合成できることがわかりました。