ニュース出版物電子情報工学科
掲載日:2026.07.09

工学部電子情報工学科の菅原 滋晴 准教授と、2026年3月に同科を卒業した下口谷 行永 さん(現:菅原研究室 OB)による共同研究論文が、非破壊検査分野の主要な国際学術誌である 『Journal of Nondestructive Evaluation』(Springer発行)にオンライン掲載されました。
本研究は、下口谷さんが在学中に菅原研究室で取り組んだ成果をまとめたもので、磁気を利用して金属や半導体材料内部のキズを調べる「渦電流探傷(ECT)」という技術に焦点を当てています。
■ 研究の背景と成果:新しい物理現象「感度交差」の発見
半導体製造装置のガス配管や化学プラントの熱交換器などの保守点検には、非接触で高速に検査ができる渦電流探傷が広く用いられています。従来の理論では「導体のボリュームが大きいほど、センサーの反応(感度)も大きくなる」と考えられてきました。
しかし、本研究では数値解析(FEM)と理論考察により、特定の周波数帯において、「中実の棒よりも、肉厚の薄いパイプの方が高い感度を示す」という、これまでの常識を覆す「感度交差(Sensitivity Crossover)」現象を世界で初めて明らかにしました。これは、パイプの内壁で電磁波が反射・干渉し、表面付近に電流が集中する「ブースト効果」が生じるためです。
■ 今後の展望:あらゆるサイズの配管検査を効率化
さらに本論文では、電磁気的な相似則に基づき、対象物のサイズが異なっても最適な検査条件を導き出せる 「一般化スケーリング則」 を確立しました。これにより、微細な半導体部品から巨大なプラント配管まで、あらゆる寸法の円柱状部品に対して、シミュレーションをやり直すことなく最適なセンサー設計が可能となります。
本研究の成果は、次世代の産業計測技術やインフラ設備の安全性向上に大きく貢献することが期待されています。
■ 掲載論文情報
・タイトル: Sensitivity Crossover and Generalized Scaling Laws in Resonant Eddy Current Testing of Cylindrical Conductors
・著者: Yukinaga Shimoguchiya, Shigeharu Sugawara
・掲載誌: Journal of Nondestructive Evaluation (Springer)
・論文リンク(SharedIt): https://rdcu.be/fsOMt(どなたでも無料で本リンクから論文の全文(閲覧専用PDF)をお読みいただけます。ぜひご覧ください。)



